『天祭一〇八』では、尊敬するアーティストの皆さまや
友人たちをはじめ、たくさんの方々とお話させていただきました
作品に関心をお寄せくださり、本当にありがとうございます
お立ち寄りくださったどの方との交流も印象深いものでしたが
その中でもとりわけ心に残ったのは、ある高校生との出会いでした
私の絵を強い眼差しでじーっと見つめ、実直な口調で質問を投げてくる彼を、
私はその大人びたアーティスティックな風貌からか
若い作家さんだと思い込んでいました
「いえ、まだ高校生です」との言葉に、
背筋に緊張が走ったのは言うまでもありません…
酸いも甘いも噛み分けた大人を相手にするのとは違います、
彼の真っ直ぐな真剣さを前に、私も心して応えました
しばらくやりとりを交わした後、彼がおもむろに
「美術の学校に行こうか迷っているんです」と漏らしました
それを聞いて私は、高校時代の自分の姿を
重ね合わせずにはいられませんでした
当時、美術に熱中していた私でしたが
思うところあって美術系の学校への進学を迷っていました
美術教諭に相談したところ、返ってきた答えはシンプルでした
「迷うくらいならやめろ」
それを聞いて私は納得し、別の道へと進みました
…あれから何年も経ち、結局私はこうして絵を描いています
私自身の経験談とともに、描きたい思いがあるなら、
自分の手の中に描く運命があるなら、そのときは必ずやってくる、
だから安心して心のままに進めばいい、…とその高校生に伝えました
たとえ将来描くことがなくなったとしても、
自分の選んだ道を信じて進めばいい… 彼はどう感じたでしょうか
この先彼がどのような人生の選択をしようとも、
真っ直ぐな眼差しのままに生き抜いてくれることを願って止みません
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